藤田嗣治
激動の時代を生き抜いたエコール・ド・パリの寵児
1886年明治19年 〜 1968年昭和43年
東京美術学校を卒業後、フランスに渡り、モディリアニらとともにエコール・ド・パリの代表的画家として活躍しました。とりわけ、裸婦に代表される「乳白色の肌」の優美な美しさは、多くの人々の心をとらえました。その後中南米を旅行して日本に帰国し、二科展で活躍するとともに、第二次世界大戦中は戦争画も描きます。大戦が終わるとフランスに戻り、やがて帰化して、再び日本の土を踏むことはありませんでした。
- よく描くテーマ
- 女性
- パリ
- 子供
- 猫
- 所属
- 二科会
- 帝国芸術院
- 性別
- 男性
- 誕生日
- 1886年11月27日（土）
- 歿日
- 1968年1月29日（月）
- 出身地
- 東京
- 受章
- 勲一等瑞宝章
- レジオン・ドヌール勲章
- 関係のある主な作家
- 黒田清輝（師）
- 海老原喜之助（弟子）
- ベル串田（弟子）
- 成井弘（弟子）
- 藤田嗣章（親）
- パブリック・コレクション
- ポーラ美術館
- 東京国立近代美術館
- ひろしま美術館
- 平野政吉美術館
- 京都国立近代美術館
- ブリヂストン美術館
- パリ市立近代美術館
- 目黒区美術館
- 松岡美術館
- ランス美術館
- 鑑定機関・委員会
- 東美鑑定評価機構鑑定委員会
- 日本洋画商協同組合鑑定登録委員会
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1886年明治19年 |
父、嗣章は当時陸軍一等軍医で領有後間もない台湾、朝鮮の衛生行政に尽力し、大正元年、陸軍軍医総監に栄進した。 11月27日、東京市牛込区新小川町に生まれる。 |
| 1893年明治26年 |
東京高等師範学校付属小学校に入学。 |
| 1900年明治33年 |
同中学校に入学。 |
| 1905年明治38年 |
東京美術学校予備科に入学。森鴎外のすすめにより、東京美術学校西洋画科に入学。黒田清輝に師事する。 |
| 1907年明治40年 |
精勤賞を受ける |
| 1910年明治43年 |
東京美術学校西洋画科本科を卒業。白馬会第１３回絵画展覧会に「山より」「女」が入選。 美術学校卒業後、和田英作教授の助手として帝国劇場の壁画や背景の制作を手伝う。この頃から３年続けて当時の文展に出品 したが、３回とも落選。 |
| 1911年明治44年 |
東京勧業展覧会に「青梅」「山家」「上野原」「駅」出品。 |
| 1912年大正元年 |
第２回東京勧業博覧会に「午後の日」「宿裏」を出品。 光風会第１回絵画展覧会に「清水湾」「帝国劇場」「南国」が入選。 |
| 1913年大正2年 |
門司から日本郵船三島丸で渡仏。この年の末モジリアニ、 スーチンと交遊。 |
| 1914年大正3年 |
この頃から立体派風の制作を試みる |
| 1917年大正6年 |
パリのシェロン画廊で初の個展を開く。 その後、ブリュッセル、アントワープ、ベルリンなどヨーロッパ各国で個展を開催。 乳白色の平滑な絵肌に面相筆による線描を生かした独特の画風 を編み出す。 ピカソの友人である批評家、アンドレ・サルモンが目録に序文を書く。 |
| 1918年大正7年 |
シェロン画廊で２回目の個展。この頃からフジタの名が広まる。 |
| 1919年大正8年 |
初めてサロン・ドートンヌに出品。出品した６点が全部入選して、 その年に会員に推挙され、パリ画壇における地位の確立に第一歩 を踏み出した。 |
| 1920年大正9年 |
渡仏以来の研究の結晶である裸体を秋のサロンに出品。 |
| 1921年大正10年 |
サロン・ドートンヌの審査員に挙げられ、いよいよ黄金時代が 展開する。画商が藤田の作品を奪い合った。 |
| 1922年大正11年 |
第４回帝展に「我が画室」（１９２１）を出品。 |
| 1923年大正12年 |
サロン・ドートンヌ第１６回展に「五人の裸婦」を出品。サロン・デ・チュイルリーの会員となる。 |
| 1924年大正13年 |
第５回帝展委員。帝展に「静物」（１９２２）を出品。 |
| 1925年大正14年 |
レジオン・ド・ヌール五等勲章を贈られる。 日仏芸術社主催第二次フランス現代美術展に油絵３点の他版画を出品。 |
| 1926年昭和元年 |
サロン・ナショナル・デ・ボザールの審査員となる。 |
| 1927年昭和2年 |
銅版画１点、ルーブル美術館に収められる。 パリのコメディ・デ・シャンゼリゼで上映された「修善寺物語」の舞台背景を制作 |
| 1929年昭和4年 |
１７年ぶりに帰国。東京朝日新聞社屋で個展を開き、大作「構図」（１９２８）ほか鉛筆デッサン５０余点、版画２０点を出品。 ひきつづき２回目の個展を日本橋三越で開催。「舞踏会の前」（１９２５）ほかデッサン、版画等数十点を出品、大成功を収める。 |
| 1930年昭和5年 |
パリに帰る。ニューヨークに渡って個展を開き、またグリニッチ・ ビレッジにアトリエを借りて３ヶ月間制作を行う。 さらにシカゴに １ヶ月滞在する。第二次世界大戦までの間、アメリカ、メキシコ、 フランス、日本など各国を渡り、個展。 戦中は日本で従軍画家として活躍。 |
| 1931年昭和6年 |
パリに引き揚げた後、ブラジルに旅立つ。 |
| 1932年昭和7年 |
アルゼンチンに入り、さらにボリビア、ペルー、チューバなどを回り、メキシコに着き７ヶ月滞在する。 |
| 1933年昭和8年 |
ニューメキシコ、アリゾナからカリフォルニアに渡って４ヶ月を 過し、１１月に帰国。 |
| 1934年昭和9年 |
日動画廊で個展。二科会会員に推挙される。大礼記念京都美術館開館記念京都市美術展に「メキシコ」を出品。 第２１回二科美術展覧会に「メキシコのマドレーヌ」「町芸人」 「カーニバルの後」など２７点を特別陳列。この年、メキシコ風のアトリエを建てる。 |
| 1935年昭和10年 |
大阪の十合百貨店特別食堂に壁画を制作。銀座の喫茶店コロンバンに天井画を制作。 |
| 1937年昭和12年 |
横光利一原作「旅愁」の挿絵を東京朝日新聞に連載。 |
| 1938年昭和13年 |
沖縄に遊ぶ。琉球作品発表展に「海辺の墓」「琉球の女」など２０余点を出品。 |
| 1939年昭和14年 |
渡米したのち、パリに着く。 |
| 1940年昭和15年 |
第２次世界大戦の戦火の下、パリから帰国。 |
| 1941年昭和16年 |
良き理解者であった父嗣章が死去する。 帝国芸術院会員となる。国際文化振興会から文化使節として仏印に派遣される。 |
| 1943年昭和18年 |
朝日文化賞受賞 |
| 1945年昭和20年 |
疎開先の神奈川県津久井郡小淵村にて終戦を迎える |
| 1947年昭和22年 |
ニューヨークのケネディ画廊で近作の展覧会が開催され、好評を博する。 |
| 1948年昭和23年 |
近代日本美術総合展に出品。 |
| 1949年昭和24年 |
羽田から空路渡米。フランス入国の許可も受けた。 「日本画壇も国際的水準に達することを祈る」というのが故国に残す言葉であった。ニューヨーク滞在中、５１番街の画廊で近作を開催する。 |
| 1951年昭和26年 |
秘蔵の労作「我が室内」「アコーデオンのある静物」など代表作をパリ国立近代美術館に寄贈。 |
| 1955年昭和30年 |
フランス国籍を取得。日本芸術院会員を辞任。 |
| 1957年昭和32年 |
レジオン・ドヌール四等勲章を贈られる |
| 1959年昭和34年 |
君代夫人とともにカトリックの洗礼を受ける。洗礼名は「レオナルド」。 ベルギー王立アカデミー会員となる |
| 1960年昭和35年 |
新宿伊勢丹で藤田嗣治展を開催。 |
| 1966年昭和41年 |
第２回近代日本洋画名作展に出品。 設計・美術すべての分野に専念したランスのノートルダム・ド・ラ・ペ・フジタ礼拝堂を自ら建設。 |
| 1968年昭和43年 |
1月29日、スイス、チューリッヒの病院で死去（８１歳）。 遺体はノートルダム・ド・ラ・ペ礼拝堂に埋葬される。日本政府より勲一等瑞宝章を追贈される。 |