魅せられし河
オペラ座の夢
『魅せられし河』は1951年、藤田の65歳の誕生日を祝して315部が出版された挿画本で、この作品が対象となって藤田は2度目のレジオン・ドヌール勲章を受章しました。フランスの古文書学者ルネ・エロン・ド・ヴィルフォスがパリのフォーブール・サントノレ通りを川に見立てて書き下ろした文章に、藤田によるカラーエッチング、エッチング、エッチングと手彩色の挿画24点が添えられています。当時のパリの街並みや市民の営みが活き活きと描かれており、今日でも高い人気を誇る名作です。その中でも本作「オペラ座の夢」は藤田作品の代名詞である乳白色の肌のなめらかさと繊細な描画によって一番の人気を誇っています。