鍬形
-「アトリエC-126」30週年記念・オリジナル版画カレンダーの中の1作-- アトリエC-126とは中林忠良らが中心となり、1967年に版画カレンダー制作を始めたころの東京芸術大学版画研究室のドアー番号である。版画がまだ街の画廊では見ることのまれな、大学教育でもようやく授業に採り入れられたころのことである。当時の助手仲間が、遊び半分手作りで始めたカレンダーであった。日常性をもたすことで安く多くの人の手にオリジナル版画を、という大義名分とし、分野の異なる先生方をも巻き込んで銅版画の版画カレンダーを制作。駒井哲郎や小磯良平、脇田和、小野忠重、小松崎邦雄、野見山暁治、加山又造、木村希八、二村裕子、中西夏之、絹谷幸二、奈良美智、天野純治などが、小さな版面に思いを込めて制作する。これに関わった助手や研究生たちを加えれば、この国の60年代以降の現代版画の歴史がたどれるくらいの、まさに版画啓蒙の大事業だったともいえる。