眠るマドレーヌ
描かれているモデルは藤田嗣治の4番目の妻、マドレーヌ・ユジェニー・ルイーズ・ルクー・フジタ(フランス国マルヌ県ドルマン出身)。 3番目の妻・ユキと離婚した後、適した伴侶に恵まれずにいた1930頃に出会ったのが、カジノ・ド・パリの踊り子として活躍していた赤毛のダンサーことマドレーヌ・ルクーであった。1931年秋に藤田は絵画作品のほとんどをユキに譲渡して「煙草を買いに言ってくる」と言い置いて家を出た。マドレーヌとともにアメリカから中南米各国への旅に出発。ヨーロッパ文化、歴史的に地続きであった南北アメリカでの藤田の名声は高く。各地で個展を開き、また多くの作品も手掛けた。同伴したマドレーヌをモデルとした作品も多数描き、『横たわる裸婦(マドレーヌ)』(1932年)や『メキシコに於けるマドレーヌ』(1934年、京都国立近代美術館)などの傑作もある。