ジロスコープのある静物画





緊張感とバランス、リズムのすべてが集約された晩年の一枚。 初期にみられる交差線下地に代わり、伝統的な細粒点刻の銅版下地が作られ、晩年の作品にみられる漆黒の世界を表現している。 長谷川が子供のころに大好きであったジャイロスコープは芸術や科学の親近性を暗示し、卓上に置かれたピンは高慢な男のような印象を与え、ボールは現代の世界を表している。 それぞれ意味を持つモチーフによって構成される晩年の作品は、深淵な精神世界を探求した長谷川の到達点と言える。
技法 | マニエル・ノワール |
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画寸 | 35.6 × 26.4 cm |
紙寸 | 50.8 × 37.6 cm |
レゾネNo. | No.347 |
制作年 | 1966年 |
限定部数 | 70 |
サイン | 本人サイン |
在庫状況 | 売却済 |
長谷川潔について
大正・昭和期に活躍した日本の版画家。1918年(大正7年)にフランスへ渡り、様々な銅版画の技法を習熟。特にメゾチント(マニエール・ノワールとも)と呼ばれる古い版画技法を復活させ、独自の様式として確立させたことで有名。渡仏して以来、数々の勲章・賞を受けたが、一度も帰国せずにパリで没した。